賃借権である借地権を転借した場合において、原借地権が第三者対抗要件を具備していないとき、土地所有権の譲受人に対して転借地権を対抗するには、転借地権者名義の建物登記のみをもって足りるのか。いくつかの説が考えられる。

イ) 転借地権者名義の建物登記により、転借地権者は所有権譲受人に対して、直接に転借地権を対抗することができる。

ロ) 転貸人は、転借地権者名義の建物登記による転借地権の対効力を援用して、所有権譲受人に対して原借地権を対抗できる。したがって、転借地権者も所有権譲受人に対して転借地権を対抗できる。

ハ) 転借地権者名義の建物登記による転借地権の対効力が及ぶ人的範囲は、原借地権の譲受人及び二重転借地権者に留まり、土地所有権の譲受人は範囲外である。転借地権が原借地権を基礎に存立する以上、対譲受人との関係において、転借地権は原借地権と共に消滅する。

イ説については、原借地権を対抗できないこと、その結果として転借人と所有権譲受人との間にいかなる法律関係が成立するのかということ等の説明を加える必要がある。

ロ説については、借地権者自身以外の名義による建物登記に対効力を認めない判例理論との整合性が問題となり得る。最高裁は一貫して、借地上建物による借地権の第三者対抗を認める要件として、借地権者自身の登記名義を要求する。それに対して転貸借という内部関係の有無の相違だけで結論を異にすることには、若干の違和感を禁じ得ない。

実務的にはハ説を原則と捉え、転借地権を取得するに際しては、原借地権の対抗要件具備を転貸人及び原借地権設定者に対して求めるべきではなかろうか。原借地権の対抗要件とは、転貸人が借地上に建物を所有しない場合には、土地への賃借権設定登記(民法第605条)である。転貸の登記については、転借地権者名義の建物登記が存する場合には、必ずしも要さないと解して差し支えないであろう。

デベロッパーがマスターリーサーとして一括借上げした土地を賃借(転借)するなどの場合には、留意すべき問題である。